スーパーの魚屋に行くと、『養殖のぶり』と『天然のぶり』、両方が売り場に並んでることがありますよね。
比較的安価な天然ぶり、価格が安定している養殖ぶり。
この2つを見て『一体、どっちが美味しいの?』なんて思う方も多いのではないでしょうか。
スーパーの店員が思う結論を言うと、
瞬間的においしいのは『天然』!
安定しておいしいのは『養殖』!
といった感じです。
ぶりの旬について
天然ぶりの旬は冬、養殖ぶりは1年を通して美味しく食べられます。(産地によって違いはあります)
天然ぶりは、寒さが深まるにつれて脂が乗ってきて、最も寒さが深まる1月に美味しさのピークを迎えます。
そこから春に向けて、徐々に脂が落ちてきて、産卵期を迎える春には、卵に体の栄養をもっていかれ、身もスカスカになってしまいます。
それに対して、養殖ぶりは1年を通してエサで管理されているため、いつでも品質が安定しているというわけです。
身質の特徴
天然ぶりは身にハリがあって、食べ応えがある身をしています。
脂もくどくなく、あっさりとして、さっぱりと食べられます。
切身自体は赤みがかっていて、少し時間が立つだけで血合いが茶色く変色してしまいます。
養殖ぶりはホロホロと柔らかい食感で、とろけるような身質をしています。
身全体にしっかり脂が乗っていて、切身は白っぽいのが特徴です。
そして、天然と比べると身も血合も変色はしにくくなっています。
すぐ調理する場合は『天然』で、時間が経ってから料理する場合は『養殖』なんて選び方をしてもいいかもしれませんね。
エサの違いが味にあらわれる
天然ぶりは小魚やいわしを食べるため、魚特有の旨みがあります。
人によってはこの『旨み』が『臭み』として感じることもあるようです。
鮮度劣化による変色をしていると、『臭み』を感じることが多いので、特に天然ぶりに関しては、湯引きをしたり、塩を振ってペーパーで拭き取ったり、生姜や大葉で臭い消しをすると美味しく食べることができます。
養殖ぶりはエサによって、味わいをコントロールして、1年間を通して品質を安定させています。
また、品種によっては柑橘類をエサに入れて、爽やかな柑橘風味に仕上げているものもありますよね。
大分の『かぼすブリ』は全国的にも有名で、プライドフィッシュにも選定されています。
寄生虫の『いる』『いない』
ぶりには『ぶり線状虫』というミミズのような見た目をした寄生虫がいます。
天然である以上、仕方がないことなのですが、見た目がよくないため、切身の中からこれが出てくると、クレームをいただくことがあります。
また、ぶり線状虫自体に害はありませんが、鮮度が落ちてくると、その虫がいた部分が溶けてくることもあるので、虫がいることで鮮度劣化を早めてしまいます。
その点、養殖ぶりはエサで寄生虫が寄り付かないように管理しているので、寄生虫がいません。
この点でも養殖ぶりの品質が安定していることがうかがえますよね。
オススメのぶり
天然ぶり
冬の富山の氷見ぶり、秋から冬にかけての北海道のオホーツクぶり、春先には和歌山と三重の桜ぶりあたりはブランド名があるだけあって、非常に美味です。
切身を見てみると養殖ぶりと変わらないほどの脂が乗っていることがあります。
あと、ブランド名はありませんが、山口の天然ぶりも扱いが良くて、鮮度もいいし、非常に旨いです。
養殖ぶり
養殖に関しては品質が安定しているため、どこの産地のぶりを食べてもおいしいです。
前出の大分のかぼすブリはブランドぶりとしてプライドフィッシュにも選定されているので、見かけることがあれば、ぜひとも食べてみて下さい。
メチャ旨ですよ!
まとめ:普段は『養殖ぶり』を食べつつ、瞬間的に旨い『天然ぶり』を食べよ!
最終的にいきつく結論はこうなります。
天然ぶりが美味しくない季節、春から夏あたりにぶりを食べたくなったら、間違いなく養殖ぶりを選ぶべきですし、秋から冬にかけて、脂がのってきたタイミングで、旨くて安いぶりがあれば、天然を食べるべきだと思います。
その方が、財布にも優しいですし、何よりもおいしいです。
天然ぶりは、どうしても品質に差があるので、『切身を見て旨いか旨くないか判断する』しかありません。
脂が乗った切身はどんななのか、鮮度のいい切身はどんななのか、日々、お魚売り場を見て、目利きのレベルを上げてほしいと思います。
特に天然ぶりは相場物で、日々値段が上がり下がりします。
『この旨そうなぶりがこの値段で買えるの!?』なんてこともあるので、ぜひお魚売り場をチェックしてみて下さい。
その点、養殖ぶりは品質が安定していて、出荷するタイミングも生産者でコントロールできるため、『広告の品』として、特売で売り出すタイミングがわかりやすくなります。
冬になると、広告に載るタイミングも増えてくるので、行きつけのスーパーの広告をチェックしてもらって、お得に旨い養殖ぶりをゲットできるようにしましょう。